さいごの夢まで、よろこんで。
四枚目は、ショッピングモールの入り口に立っていた。
あわてて撮ったからか、ちょっと右に偏って写ってるし、若干ブレてる。
それにしても、翔太のこのだるそうな顔。心底面倒くさそうだったな。
そして、もう一枚。
撮れたかどうかわからなかった五枚目は。
教室で、一人立つ翔太の姿。
怒ったような、泣きそうな顔で、カメラを見てる翔太。
あのときは気付かなかったけど、力を入れすぎて色が変わるくらい、右手がぎゅっと握りこまれてる。
後ろに写った黒板には、意外と上手な翔太が描いた似顔絵。
最後に見た顔が、こんな表情だなんて。
写真にポタッと水滴が落ちたことに気付いて、慌てて服の袖で拭った。
「……全然枯れてないじゃん、ばか」
こんなに悲しい思い出が欲しかったわけじゃない。こんな顔をさせたかったわけじゃない。
写真の中の翔太の右手が、すべてを物語ってるように思えた。