さいごの夢まで、よろこんで。
赤城くんの悲痛な叫び声が、病室の中に響いた。
「昔からあいつとずっと一緒にいたのに、どうしてなにも気付かないんですか!あなたと一緒だっていうのに!」
目をそらせない。
赤城くんの目に、涙が浮かんだ瞬間を見てしまった。
「え、なに……を、言って」
「どうしてあいつが、いくら誘われても部活に入らなかったか、運動しなかったか知ってますか?どうしてあなたと同じようにこの町に引っ越してきたのか、どうして僕があいつの家に行くようになったのか……。あなたがわからなくて、他に誰がわかるっていうんですか!?」
この人は……赤城くんは、一体なにを言ってるんだろう。そんなの、理由は私だって知らない。
翔太が部活に入らなかったのは、本人いわく面倒だからで、運動とかそういうのあんまり好きじゃないし、みんなからクールって言われてて。
翔太が中学になる頃に引っ越してきたのは、どうしてかなんて聞いてない。ただ、都会からこっちに来たってのは、私と一緒だなって思った記憶があるだけで。
赤城くんが翔太の家に行くようになったいきさつなんて、それこそ私にわかるわけないし、私の家には、赤城くんはたまに来てたけど、それは私の様子を見に来てくれてたからだし。
”あなたと一緒だっていうのに”って、そんなの、そんなはずないよ。
だってそしたら、もし私と同じなら、翔太は。
赤城くんは、一体なにを言ってるんだろう。