さいごの夢まで、よろこんで。
今、目の前にいるのはたしかに翔太だ。
信じられない。どれほど待ち焦がれただろう、この人を。
思いっきり、全身で抱きしめたい。だけど驚きのあまりかたまってしまって、体が動かない。
「……会いたかった、沙耶、会いたかった……」
ゆっくりと、翔太が腕を伸ばしてきた。
その腕に誘われるように、そのまま抱きしめられた。
久しぶりに感じる翔太の体温が、間違いなくこれは翔太だと証明してる。
そう認識してしまったら、もう抑えきれなかった。忘れかけてた感覚が次々と蘇ってきて、目の奥が熱くなって、喉の奥が震えた。
それは大粒の涙となって、止まることなく翔太の肩に吸い込まれていく。
「泣くなよ。肩冷たい」
「しょうた、ほんとのほんとに、翔太がいる…っ」
泣きじゃくる私の背中を、ポンポンと優しくなだめる大きな手。
今までの苦しみとか痛みなんて、最初からなかったみたいに一瞬で消え去った。
今こうして、翔太にもう一度会えただけで、他のことはもうどうでもよかった。
「沙耶にもう一回会えたら、言おうと思ってたこと色々あんだけど。謝りたいこととか、問い詰めたいこととか」
翔太は体を離した。私の肩に手をおいて、じーっと目を見られる。
「……だけどもう、いいや。もう、会えたから。それでいい。だから、一つだけ言っとくことにする」
「……?」
翔太は笑ってる。
昔となにも変わらない。私が知ってる翔太の顔で、笑ってる。
「好きだよ、沙耶」
目がはなせない。
このまま翔太だけを、ずっと見ていたい。だけどもう、視界が滲んで滲んで仕方ない。