さいごの夢まで、よろこんで。

「ずっと好きだった。昔から今まで、沙耶しか見てない。俺が一生そばにいてやるって、思ってた」
「……う、そ」
「嘘じゃない。……お前が好きだ」

こんなことってあるんだろうか。
今まで生きてきたどの瞬間よりも、今が一番、幸せだなんて。
元気なときより、入院する前より、こんなときに最高の気分になるなんて。

今まで散々、好きになってごめんなさい、って自分を責めてきた。
私が好きになったのがいけないんだって、辛かった。
だけどそんなの、最初から間違ってたのか。なんだそれ。

「わ、わたしも、翔太のこと、好き」

翔太を好きになってよかった。
この人が、大切な人でよかった。
今、本気でそう思う。

翔太は嬉しそうに、さっきよりも満面の笑みで、もう一度私を抱きしめた。

私の肩が、ちょっと冷たくなったような気がしたけど、なにも言わないでおいてあげることにした。

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