にゃおん、と鳴いてみよう

さすがにいきなり触られるのは嫌。
馴れ馴れしいわよ、やめて。

一生懸命もがいてみたけど、今はあんまり力が入らなかった。

それに、ミネちゃんってネコの扱いが上手なのかも。
意外にも強い力であたしをかっちり押さえるから、全然動けない。


結局力比べはミネちゃんの勝ち。

濡れたタオルがお腹の辺りを行ったり来たりする。
あたしは、なすがままになって、お腹を見せてしまっている。

ああん、もう。離してよう。
くすぐったい。でも気持ちいいわ。
ママの舌には敵わないけどね。

そう思ったら、途端にママが懐かしくなった。


ママ、どこにいるの? チビはここだよ。


「……ひっ」


鳴きたいのに、掠れた変な声しか出ない。
困ったなぁ。

でも、ちょっとホッともしている。

あんなに呼んだのに、ママは来なかった。
またいっぱい呼んでも来なかったら、悲しいもん。

声が出なければ、呼ばなければ、裏切られることはない。

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