にゃおん、と鳴いてみよう

そのうち、ミネちゃんの名前が呼ばれて、あたしは白い服をきたおじさんとおねえさんの前に連れて行かれた。何が起こるのか分からなくて、緊張しちゃう。


「拾った時から一度も鳴かないんです。食欲もあるし、排便とかも普通なんですけど。でもあまりにも長いから心配で……先生、何かの病気でしょうか?」


せんせい?
この人は先生さんって言うのね?

あたしはチビ……じゃないや、今はモカよ。
先生に向かって顔をあげてご挨拶……って思ったら、いきなり体をがしっとおさえらえて、口をあけられた!

あがががが! 痛い! 何するのよう。

先生さんはあたしを抑えたまま、ミネちゃんに向かって話し出した。


「うーん。少し喉が荒れてはいるけど、風邪なんかの症状はないしね……ああ、捨て猫だったって言ってたね。拾ったのは?」

「一週間ほど前です。行き倒れていたので……。私の家に来てからは声が出ない以外は元気なんですけど」

「君が飼うの?」

「それは……」


ミネちゃんが困ったように目を伏せる。
慰めてあげたいけど、口を押さえられててどうにもならないわ!

尻尾でいやいやアピールしたら、先生さんはようやく離してくれたけど。
もう!アゴが外れちゃうかと思ったよう。

もうヤダヤダ。
ミネちゃんの手が緩んだ隙を見て、ぴょんと台から飛び降りた。


「あ、こら、モカちゃん」


たくさんの犬や猫がいるケージがいっぱいのところに行ったら、みんなに一斉に吠えられたから、びっくりしておしりをついてしまう。
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