にゃおん、と鳴いてみよう
やあん、なによう。あたし何にもしてないよー。
戸惑うあたしを、白い服を着たおねえさんが抱き上げてくれた。
困った顔して、「勝手に動いちゃだめよ」と片目をつぶる。
ごめんなさいね。
シュンとして、おとなしくおねえさんに抱かれたままミネちゃんの方を見たら、なんだかこまった顔で先生とお話してる。
どうしたの? ミネちゃん。
困ってるの?
あたし、助けてあげるよ? どうすればいい?
お話が終わると、ミネちゃんはあたしを受け取ってまたカゴに戻した。
「ストレスかも、だって。モカちゃんも色々あったのね」
そうよ。ママを探して大冒険、大変だったんだから。
お話が通じれば、ミネちゃんにも教えてあげるのになぁ。
病院を出て、再びお外だ。もう変なところにはいかないよね?
来る時は何となくカゴの中で大人しくしちゃったけど、落ち着いてきたら何だか外が見たくなっちゃった。
だって、葉っぱの音や風の匂いがする。久しぶりのお外だもん。遊びたいよー!!
カゴの内側を、ガリガリガリガリ。
「やーん。カゴが壊れちゃうよ。モカちゃんやめてー」
いやよう、ちょっとだけ。
ほんのちょっとでいいから、お外で遊ばせてよう。