にゃおん、と鳴いてみよう

やあん、なによう。あたし何にもしてないよー。

戸惑うあたしを、白い服を着たおねえさんが抱き上げてくれた。
困った顔して、「勝手に動いちゃだめよ」と片目をつぶる。

ごめんなさいね。

シュンとして、おとなしくおねえさんに抱かれたままミネちゃんの方を見たら、なんだかこまった顔で先生とお話してる。

どうしたの? ミネちゃん。
困ってるの?

あたし、助けてあげるよ? どうすればいい?



 お話が終わると、ミネちゃんはあたしを受け取ってまたカゴに戻した。


「ストレスかも、だって。モカちゃんも色々あったのね」


そうよ。ママを探して大冒険、大変だったんだから。
お話が通じれば、ミネちゃんにも教えてあげるのになぁ。


 病院を出て、再びお外だ。もう変なところにはいかないよね?

来る時は何となくカゴの中で大人しくしちゃったけど、落ち着いてきたら何だか外が見たくなっちゃった。
だって、葉っぱの音や風の匂いがする。久しぶりのお外だもん。遊びたいよー!!

カゴの内側を、ガリガリガリガリ。


「やーん。カゴが壊れちゃうよ。モカちゃんやめてー」


いやよう、ちょっとだけ。
ほんのちょっとでいいから、お外で遊ばせてよう。

< 28 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop