にゃおん、と鳴いてみよう
「外が見たいのかなぁ。うーん。気持ちはわかるけど、見失っちゃったらどうしよう」
ミネちゃんはためらった声を出しつつも、子供の声がするような場所でカゴの蓋を開けてくれた。
あ、ここ公園だ。しってるよ。主さんの家の近くにもあったの。
『ゆうぐ』とかいうやつで、遊べるんでしょ?
でも『ゆうぐ』で遊んでる子供って、どこから飛んでくるか分からなくって、あたしにはちょっと怖いんだけど。
ベンチに座ったミネちゃんが、土の地面にあたしを下ろす。
「遠くに行っちゃダメよ? 柵とかくぐらないで。迷子になっちゃうからね」
あたしは返事の代わりにしっぽを揺らした。
ミネちゃんに通じてるかは分からないけど。
久しぶりの土や草の匂いは気持ちが良かった。
嬉しくって胸一杯にその空気を吸い込む。
ぐるりと公園内を見渡すと、少し離れた場所に、お砂場と『ゆうぐ』があって、その周りには小さい子がたくさんいる。
ちょっと離れた木陰にはベンチがあって、ミネちゃんよりおばさんな人がいっぱいいる。
お散歩している犬もいるなぁ。
あたし、犬は怖くないけど、吠えられるのは嫌いだから、そっちには近付かないようにしようっと。
あ、バッタだ。
ねぇねぇ、ミネちゃん。バッタがいたよ!
教えてあげようと思ってミネちゃんの方を見たら、ミネちゃんは下を向いていて全然こっちを向いてくれなかった。