にゃおん、と鳴いてみよう
 * * *


 それから数日後。あたしは病院のケージの中で不貞寝してる。

ここは、食べ物も飲み物もちゃんとくれるけど、お外に出してくれないからつまらない。
どうせ捨てられるんなら、お外に捨てられた方が良かったなぁ。そうすれば、お月さまも見えるもん。

ここでの唯一の楽しみは、病院に来るお客さん。
色んなネコやイヌが来るから、それはちょっとドキドキしちゃう。


そしてこの日、昼過ぎにやってきたお客さんを見て、あたしは息が止まるかと思っちゃった。

小さな子供二人にお母さんという組み合わせのニンゲン。その人たちが連れてきたのは、三毛猫のネコ。
思わず毛が逆立っちゃった。

だって、まぎれもなくそれは三番目のお姉ちゃん。ちーねぇちゃんだったんだもん。


「にゃー!」

ちーねぇちゃん!

大きな声で鳴いたら、ちーねぇちゃんは気付いてくれた。
一瞬驚いた顔をして、だけどあたしのこと、分かってくれた。

「みゃー、みゃー」

チビじゃないの!
良かった。無事だったのね? 心配してたのよ?


ちーねぇちゃんはそう言って、少し首をかしげる。


「にゃーにゃーにゃー!」

ちーねぇちゃんこそ、良かったよう。あたし、皆の事捜してたんだよ?
ねぇ、皆無事なの?
おおねぇちゃんと、ちゅうねぇちゃんと、ママは?

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