にゃおん、と鳴いてみよう
あたしの必死の声に、ちーねぇちゃんは、困ったように首を傾げた。
笑うとよく通る声は、今は少し沈んでいる。
「みゃーみゃ」
チビは、誰かに拾われたの?
その問いに、あたしはビクッとする。
「にゃー……」
拾われたよ。……でも。
その先を言えずにいると、ちーねぇちゃんの方が話し始めた。
「みゃーみゃー」
そのリボン、可愛いよ。あんたの黒い毛にぴったり。
あたしは首元のリボンを見る。ミネちゃんがつけてくれた赤いリボン。
ちーねぇちゃんは、一緒に来た人間の子供たちの方を振り仰ぐ。
「みゃー、みゃみゃーん」
わたしはこの子たちに拾われたの。
ねぇチビ、わたしたちはついてる。
新しい世界に移り住むことが出来たんだから。
もう、『ゴハン屋敷』は無くなっちゃったの。
わたしたち、ちゃんとこれから自分たちで生きてかなきゃいけない。
ちーねぇちゃんの言葉に、なんでか少し寒気がした。
ちーねぇちゃん、こっち向いてよ。
なんか怖いよ。
「にゃ、にゃー、にゃー」
そんな話じゃなくて、
おねぇちゃん達の事教えてよ。ママは?
あたしの呼び声に、ちーねぇちゃんは振り向く。
綺麗な三毛に、黄色の首輪がついてる。
ちーねぇちゃんにぴったりで、とっても素敵。