にゃおん、と鳴いてみよう

あたしの必死の声に、ちーねぇちゃんは、困ったように首を傾げた。
笑うとよく通る声は、今は少し沈んでいる。


「みゃーみゃ」

チビは、誰かに拾われたの?


その問いに、あたしはビクッとする。


「にゃー……」

拾われたよ。……でも。


その先を言えずにいると、ちーねぇちゃんの方が話し始めた。


「みゃーみゃー」

そのリボン、可愛いよ。あんたの黒い毛にぴったり。


あたしは首元のリボンを見る。ミネちゃんがつけてくれた赤いリボン。

ちーねぇちゃんは、一緒に来た人間の子供たちの方を振り仰ぐ。


「みゃー、みゃみゃーん」

わたしはこの子たちに拾われたの。

ねぇチビ、わたしたちはついてる。
新しい世界に移り住むことが出来たんだから。

もう、『ゴハン屋敷』は無くなっちゃったの。
わたしたち、ちゃんとこれから自分たちで生きてかなきゃいけない。


ちーねぇちゃんの言葉に、なんでか少し寒気がした。

ちーねぇちゃん、こっち向いてよ。
なんか怖いよ。


「にゃ、にゃー、にゃー」

そんな話じゃなくて、
おねぇちゃん達の事教えてよ。ママは?


あたしの呼び声に、ちーねぇちゃんは振り向く。

綺麗な三毛に、黄色の首輪がついてる。
ちーねぇちゃんにぴったりで、とっても素敵。


< 39 / 48 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop