にゃおん、と鳴いてみよう

「みゃー」


ゆっくりと、ちーねぇちゃんは話しだす。
とても話しづらそうに。

思い出すのが辛いとでも言うように。


……おねぇちゃんたちは、捕まったの。

あの後ね、『ゴハン屋敷』に戻ったわたしたちは、ママとも再会した。

あんたの姿が見えないって、皆で捜したりしてたんだよ。

そうしたらまた、あの青いやつらがやってきたの。

急いで逃げようとしたけど、結局逃げれたのはわたしだけだった。

おねぇちゃんたちは捕まって、ママは……


ちーねぇちゃんの話が辛くって、毛が逆立ってくる。

だけどこのまま聞かずに終わらすのはもっと怖くって、恐る恐るだけど聞いてみた。


「……にゃー?」

ママは?


ちーねぇちゃんは、一瞬目を伏せた後、あたしの方をじっと見た。
今までそらされていたのが、ウソみたいにまっすぐ。


「みゃぁおん」

ママは、月にいるよ?


あたしは一瞬何も言えなくなった。

月?
月って、お空のあの月?


ちーねぇちゃんは今度はにこりと笑う。
寂しそうな目で、だけどもちゃんと笑ってた。


「みゃぁん」


そう。
あんたとママがよく見てた月。

あんなに好きだったんだから、あそこであんたのこと見てるよ。

だから、チビは新しい飼い主と、ちゃんと幸せにならないと。

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