にゃおん、と鳴いてみよう
君と一緒に

 あれから何日経ったんだろう。
長かったような気もするけど、実際は短かったのかも知れない。

毎日、病院に来るお客さんを見ながら、ミネちゃんじゃないと思って落ち込む。
そんなことを繰り返しているうちに、気持ちはすっかり沈んじゃって、もうなんか頑張る気力もない。

与えられたご飯を食べて、何もすることがなくなったら寝る。

もう何にもしたくないなぁ。
敢えて言うなら月が見たいけど、それはここからじゃ見えないし。

ママにももう、会えないし。
あたしに、生きてる意味なんてあるのかなぁ。

欠伸をひとつして、丸くなった。
あんなにたくさん寝てるのに、まだまだ寝れるんだからすごいわ。

あっさりと落ちた夢の中は真っ暗。

お月さまがいればいいのに、と思う。
あたしの目なら、そのくらいの明るさがあれば十分だし、道が見えるなら、どこかに行けるかもしれないのに。


そのとき、何かが光ったような気がした。
あたしの髭が、何かの振動を感じたの。

でも辺りはなんにも見えない。その代わり、声がする。あたしを呼ぶ声。
これは、ミネちゃんの声?


「モカちゃーん!」


知らないもん。ミネちゃんなんて、あたしの事置いてったんだから。
まだ真っ暗な夢の中、あたしは少しふてくされる。


「モカちゃん、起きてよ」


大体、起こすのはあたしのお仕事じゃなかったの?
ミネちゃんなんて、いっつもすぐうたた寝しちゃう癖に。
あたしがいなかったら、風邪ひいてめそめそしてなきゃならないんだからね!

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