にゃおん、と鳴いてみよう
その夜、あたしは久しぶりにお月さまを見た。
ちーねぇちゃんのあの言葉の意味を、深く考えるのはやめてる。
だって、悲しくなってしまいそうだから。
だから、言葉のまんまで受け取って、あたしは月にいるというママにご挨拶をする。
「にゃぁおん」
大好きよ、ママ。
あたしね、今日からここに住むの。
お友達のミネちゃんと一緒よ?
新しい名前はモカって言うの。
チビも気に入ってたんだけど、モカも悪くないわ。
あたし多分、幸せになれるよ。
いいよね? ママ。
あたしはここで、新しい生活をして。
それでいいんだよね?
まんまるのお月さまが、キラキラと光ったような気がした。
笑ってくれたのかな。
うん。きっとそうだ。
「モカちゃん、もう電気消すよー」
「にゃー」
ミネちゃんに呼ばれるまま、自分の寝床に入って丸くなる。
月に居るという、ママに想いを馳せながら。
これからも、月のでる夜にはにゃおんと鳴こう。
ずっとずっと、大好きだよ。
いつまでもママの事、忘れないからね。
【Fin.】