廃想集 『カワセミ啼話』
そもそも、幸せの基準なんて
五体満足、幸せそうなアンタに伝わる訳がないだろ。
所詮は他人事。
基準なんてないんだよ。
基準が違うんだよ。
そんなアンタに訳知り顔で
『今、幸せですか?』
なんて聞かれたってさ。
アイツはなんて答えりゃいいんだ?
『幸せと思えば、充分幸せです。けれど、不幸せと考えれば十二分に不幸せと感じることは出来ます。だから僕は、それでもまだ幸せになりたいと欲をはるのかもしれません』
そう云った、アイツの精一杯をオレは褒め称えたいね。
アンタもごちゃごちゃヌかす前に
まずはここまで降りてこいよ。
そんな上からじゃ、見えねぇもんがぐちゃぐちゃと渦巻いてんのが少しはワカルかもしれねぇぜ。
ピカピカに光った、その靴が汚れるのが嫌じゃなきゃあな。
それが嫌なら、黙ってアイツの泥を拭いてやれよ。
それぐらいしても、バチは当たんねぇだろうからさ。
アイツはオレとは、違うからさ。