廃想集 『カワセミ啼話』


人を殺めることなんて、一瞬で出来る。



ダケド、ソレジャツマラナイ。




じわじわと追い詰め、壊す方が私の好みだ。

そう、じわじわと一枚ずつ切り取って、仕立て屋の型紙みたいに皮を剥ぐと、まるでサナギが美しく変貌するように自我を崩壊し、本能に委ね、自分が何者であったか、忘れゆく様はどんなに醜い容姿であろうと、どんなに汚れた心根であろうと、最期に遺るものは皆美しい。


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