廃想集 『カワセミ啼話』


 どうやら、僕以外には聞こえないらしく、誰もそのことを信じなかった。


 これ以上云っても、頭のオカしい奴だと思われることが分かっていたし、事実自分自身がオカしくなったのか? と思い始めた僕は、そのことを忘れることにした。


 それから、しばらくは何も起こらなかった。


 勿論、随分と僕自身が忘れていたせいもあるのだろう。



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