廃想集 『カワセミ啼話』


 ただ、眺めるだけしか出来ないなら、初めから期待などしなければ。
 この絶望は見て見ぬフリが出来たのかもしれないのに。


 俺の手には、焼けつくような光の温度に堪えきれず、残ったヤケドの痕が未だにチクチクとうずくだけ。
 まるでこのムネのイタミに似て非なるうずきだけを毎分毎秒刻み込むように。

 ただ、熱を冷ますのにちょうどいい雨が、寒い夜に俺に冷静さを取り戻させるのさ。


 だからいつも、カサは要らない。





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