だから、俺にしとけよ。
急に笑い声が聞こえた。
睨むように見ると、入谷くんは照れたような表情。
入谷くんって、わりと照れるよね。
なんて考えていると、私の口元に入谷くんの食べていたガトーショコラを乗せたフォークがやってくる。
チョコの香りがフワッときて、その誘惑に負けてパクッと食べてしまった。
「おいひぃ~」
「伊都ちゃんってチョロいね」
それ、前も言われた気がする。
けど気にしない。
「美味しいものを食べられたらいいんです」
ただそれだけで幸せな気持ちになれる。
甘いものって最高だと思う。
それから流れで入谷くんといろんなカフェを回った。
入谷くんは苦手なはずだったけど、一緒にいると気がラクでちょっとだけ楽しかった。