だから、俺にしとけよ。
「いいの?これからどっか行くつもりでここ通ったんじゃない?」
「別に」
「女の子と約束でもしてたんじゃないの?」
入谷くんの言葉に胸がズキリと痛む。
確かにここは滅多に通らない。
本棟ではないし、昇降口の方でもない。
前みたいに京ちゃんは先輩にでも呼び出されたんじゃ……?
さっきまでひろちゃんといたのに、今度は違う女の子と。
「そんなのどうでもいい。
伊都から離れろ」
私の手首を掴み力強く引き上げられる。
その勢いで京ちゃんの胸に飛び込む。
「伊都はお前みたいなやつが簡単に触れていい女じゃねぇの」