だから、俺にしとけよ。
*第3章*
ふと思い浮かぶ人
気がつけば、夏休みは終わって文化祭当日になっていた。
この学校は始業式の次の日に文化祭がある。
2日間行われて、高校の行事の中でもトップクラスの盛り上がりになる。
家を出ると、京ちゃんがすでに待っていた。
「はよ」
笑顔で朝の挨拶をしてくれる。
「おはよう」
だから私も笑顔で返す。
夏祭り以来京ちゃんとは会っていなくて、昨日の始業式で久しぶりに顔を合わせた。
私が気まずくて避けてたんだけど、京ちゃんは会うと夏祭り前と変わらなかった。
私はすごく意識して、夏祭りの帰り道も家に着いてからも次の日も、その次の日も。
ずっと京ちゃんのことを考えていたのに、実際会うと普段と全く変わらない京ちゃんで拍子抜け。
まぁ、京ちゃんにとってはそれだけのことだったのかもしれない。