だから、俺にしとけよ。
「最近寒くなってきたね」
「そうだな。
伊都は風邪ひきやすいんだから気を付けろよ」
「はーい」
私のことは何でも知っている京ちゃん。
京ちゃんが知らないのは私の気持ちだけ。
あっという間に学校に着き、靴を履きかえようとする。
……何これ?
下駄箱を開けると私の上靴が水浸しになっていた。
その上には汚れた雑巾。
これはどっからどう見てもいじめ、なんだろうな……。
初めての経験に戸惑う。
「伊都?どうかしたか?」
「あ、いや!
そう言えば上靴を洗おうとして持って帰ったんだけど、持ってくるの忘れちゃった」