だから、俺にしとけよ。




京ちゃんは私をそっと抱き締めてくれる。


けど、私はそのまま棒立ちになっているだけ。




「今まで伊都の気持ちに気づかなくて、辛い思いさせてきたってことだよな。
俺、何やってたんだろうな」



京ちゃんがギューッと腕を強める。

私は我慢できなくて涙が溢れてくる。



「絶対に幸せにするから。
もう他の女と遊んだりしないし、伊都だけを大事にする。
初めてこんな想いになったんだ」


何でこんなに涙が溢れて止まらないんだろう。


京ちゃんがこんなにたくさんの嬉しい言葉をくれているのに、私の心は空っぽになってしまったような気がする。




「伊都、好きだから」



15年間待ち望んでいた瞬間。


それなのに、私はただ涙を流し京ちゃんの腕の中で突っ立っていた。





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