だから、俺にしとけよ。
「あ、温かい飲み物買ったんでしょ?
それで温めようよ」
「照れてるの?」
「ち、違うけど……」
「じゃあいいじゃん」
絶対分かってるのに、そういうこと言うんだ。
なんて思いながら、ドキドキする心臓を抑える。
たまに意地悪だから困る。
少しの間そのままで歩いていたけど、志貴がやっとポケットから手を出してくれた。
「からかってごめんね。
伊都ちゃんは恥ずかしがり屋だもんね。
本当は嬉しいのに、素直になれないんだよね?」
「違うから!」
「まぁ、このままじゃ意味なかったし。
はい、ココアで良かったよね?」
「うん。
ありがとう。
お金……」
「これくらいでお金取らないよ。
彼女は黙って奢られときなよ」