だから、俺にしとけよ。
私の返事にニコッと微笑んで、頭をポンポンとしてくれる。
京ちゃん……。
「荷物ありがとう」
私から離れて後ろにいた入谷くんに声をかけ、リュックを受け取る。
「別に」
「じゃあね、伊都」
入谷くんの素っ気ない態度を気にも留めず、京ちゃんは手を振ってこの場を去って行った。
私も手を振り返して、京ちゃんの後ろ姿を見つめる。
「……俺がおぶる予定だったのに」
「え……?」
「下山はロープウェイにしてもらうように、担任に頼んでおいたから」
「あ、ありがと……」
お礼を言うと、入谷くんも行ってしまった。
なんか、いつもと少し違う。
けど、入谷くんは元々よく分かんない人だからなぁ。