だから、俺にしとけよ。
「でも……」
「ほら、同じクラスの実行委員だし、困った時はお互い様でしょ。だから俺がやるので、あんまり怒らないでやってください」
「入谷くんがそう言うなら……」
「ありがとうございます」
ニコッと営業スマイルのような笑顔を先生に向ける。
先生は顔をボッと赤くして、「戻っていいわよ」と少し機嫌良くお許しをもらえた。
「失礼します」
とペコッと頭を下げてから、部屋を出て隣の大広間に移動する。
はずだった。
「うわ、湿布くさ」
「仕方ないでしょ」
「はい、俺に捕まって」
すぐに移動する予定だったのに、私に絡んできた入谷くんのせいでなかなか進めない。