だから、俺にしとけよ。
キョロキョロしながら長い廊下を歩く。
学校案内されたはずなのに、まだ正確な場所を把握できていない。
確かこっちらへんだった気がするんだけど……。
そんな曖昧な記憶で行くと、なぜか別棟と本棟を繋ぐ渡り廊下に来ていた。
ここは絶対違うでしょ!
そう思い引き返そうとした時、話し声が聞こえてきて反射的に足を止める。
だって……。
「京介くんって言うんだぁ。
大人っぽいね」
甲高い声で私の知る名前が聞こえたから。
京介くんってもしかして京ちゃん?
気になって、声の聞こえた方を見る。
そこには体を密着させた男女。
女子の方が男子の首に手を回している。