LOVE GAME
「雨弥…。」
「美沙子ちゃんに暴力振るうなんて許しません。」
「本当、見に来てて良かった。」
赤松千尋の拳を格好良く受け止めながら私の目の前で言う雨弥と物陰からやれやれと言った感じで出てきながら言う奏羅。
…何で2人がここに…?
「いきなり出て行くからびっくりしたけど、雨弥ちゃんすっごいね⁉︎」
「本当、千尋の拳を受け止めてる女の子なんて始めで見た…」
奏羅の後からぞろぞろと広田君と一条君が出て来る。
あ、広田君が心配して皆を呼んで様子を見に来てくれてたんだ…。
「おい、邪魔してんじゃねーぞ、てめぇら。」
「美沙子ちゃんに手を出す貴方が悪いんです。」
「あ゛?お前が1番気に食わねぇんだよ!」
そう言って赤松千尋は受け止められた拳の反対の拳を雨弥に向かって振り下ろす。
しかしその拳も雨弥は軽々と受け止める。
雨弥と奏羅はお家の為に武道茶道花道など色々習い事をしている為、特に雨弥は武道全般得意なので彼の拳を受け止めれているんだと思う…。
あの私がゲーセンで捕まった日、2人も別の男に絡まれたらしいが、全て雨弥がやっつけたらしい、と言うのを後から聞いた。
それにしても、あの赤松千尋の拳を受け止めるとか雨弥凄すぎ…。
「こんなにも強い力があるのにどうして人を傷付けるんですか?」
「あ?」
「貴方は強いです。だから人を守る為に使ってください。」
後ろからでも分かるくらい、雨弥の声は真っ直ぐで真剣だ。
赤松千尋はやりにくいと思ったのか、舌打ちをした後、両方の拳を引いた。