悪魔なCEOとワガママお嬢様

「どうぞ」

車の方を見るとちょうど橘さんが車から下ろしてくれた所だった。

(あっ後ろに入ってたのね)

人当たりの良いにこやかな笑顔と共にトランクを差し出される。




「……え?」



なかなかトランクを受け取らない私を橘さんが不思議そうに見つめる…


(運んでくれるんじゃないの?)


玄関の前には数段だけど階段もあるし…
それに何より一人での移動以外で荷物を持ったことなんて無い。




そんな私達を見てた男が聞こえる様にため息を付いた。

「自分の荷物くらい自分で運べよ 橘はお前の荷物持ちじゃないだろ」




(なっ?!な、何よ!!私まだ何も言ってないじゃない!!それにもっと普通の言い方できない訳?!)

内心、発狂しそうなくらい腹が立ってるけど
言い返したりしたら余計に嫌味な事言われるのはもう学習済みだから黙って荷物を受け取った。






階段前に差し掛かり、グッと力を入れて持ち上げる。


(重っ………あーぁ…こんなに重くなるまで詰め込むんじゃなかった…)


少し後悔しながら最後の1段によたよたしながらも勢いを付けて登りきろうとすると何かがぶつかり、体のバランスが崩れた。

(しまった!キャスターが!)



「うわぁ?!」



転ぶっ!!!
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