悪魔なCEOとワガママお嬢様
***


「あらまぁ…可愛らしいお嬢さんですねぇ」

あの後すぐに扉をあけて中に入るとニコニコ笑顔のおばさんに出迎えられた。

「幸子(さちこ)さん…彼女は西園寺 マリアさん…色々と事情があってうちで預かる事になったからヨロシク」

「あらあら、西園寺ってもしかしてあの有名家具メーカーの?」

「ああ」

「あらまぁ、ホントのお嬢さんだったんですねぇ 私はこの家で家政婦をさせて頂いております鈴木 幸子です これからどうぞよろしくお願い致しますね」



(優しそうな人…年齢は私のお祖母ちゃんくらいかな?)
ふくよかな体型と笑顔のせいか人の良さが滲み出てる…






「こら…何ボーッとしてる?お前も挨拶しろよ」





ハッ…
言われるまで挨拶してなかった事にも気付かず慌ててペコッと頭を下げた。









「ハァ…挨拶もまともに出来ないのかよ」





(仕方ないじゃない…日本の堅苦しい挨拶の仕方なんて知らないもの……
それに!ボーッとしてたのはアンタのせいでしょ…)





黙り込んで俯いてるとパンっと手を叩く音がして顔を上げた。

「そうだわ!お腹空いてませんか?今からササッとなにか作りますから、それまでお部屋でのんびりしていて下さいな」




「あー…幸子さん悪いけどもう少ししたらまた出ないといけないんだ」



「まぁまぁ旦那様、そう仰らずに…すぐにご用意致しますから 2階右奥の客室にマリアさんをご案内していただけますか?」







「え?なんで俺が?子供じゃないんだし一人で行けるだろ…なぁ?」



「え…?!う、うん「あらっいけませんわ!旦那様は女の子にこんな重そうな荷物を運ばせる気ですか?」


私の返答にかぶせ気味で言う所とか…
うちのお祖母ちゃんに似てる。

笑いそうになるのを我慢して二人のやり取りを見ることにした。


「なっ…なんで俺がコイツの荷物なんて運んでやらなきゃダメなんだよ!」


「あら…だって旦那様は男の子でしょう?
女の子には優しくしないといけないってお教えしたはずですけど………ハァ……それに、お前とかコイツなんて呼び方もいけませんね マリアさんに失礼ですよ」


「……………」


(男の子…………ぷっ!!怒られてる!!散々私に酷いこと言ったんだからこれくらい言われても当然だよね)




「っくそ!!わかったよ!運べばいいんだろ!!
ほらお前もっ………マリアも来い!」



(は?)


「ち、ちょっと待って」

バンっと乱暴にトランクを掴み、階段を上がろうとする男を呼び止めた。

「なんだよ」









「…なんでいきなり呼び捨てなの?」








「なんだ?マリアちゃんっとでも呼んで欲しかったのか?」


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