悪魔なCEOとワガママお嬢様
「……ちゃん?!やめてよ!なんで私がそんなふうに呼ばれないといけないのよ!」
「じゃあなんて呼べって言うんだよ」
(そ、それはー……)
「あらぁよろしいんじゃありませんか?お見合い帰りの様ですし、お互いをよく知る為にも敬称は無しにして名前で呼び合うのはいい考えだと思います」
「「?!」」
これ以上ないってくらいの速さで同時に振り返ると、相変わらずにこやかに笑顔を向けていた。
「さ、幸子さん…なんで俺達の見合いのこと知ってるんだ?」
その口振りからするとお見合いする事なんて一言も話してないんだろう…
「あらいやですわぁ簡単な事ですよ」と、言いながら幸子さんは私を指差した。
「……?」
(私?)
怪訝そうに男も私を見ると幸子さんが嬉しそうに言った。
「こんなに若いお嬢さんが振り袖を着ていて、男性と二人きり…なんてお見合い以外にありませんでしょう?」
ピキっと固まる二人を余所に幸子さんの笑い超えだけがエントランスに響いてたー……
恐るべし…幸子さん。