悪魔なCEOとワガママお嬢様


(誰…?この綺麗な男…)
男の人に綺麗ってなんだか変テコな気もするけど、撫で付けられた黒髪に切れ長な目、スッと通った鼻筋に優しげに微笑んでる唇…
外国で育った私からしたら日本人ってなんだかもっさりしてる人が多い気がするのに…この人はどこ見たってパーフェクトなんだもん。

「お待たせしてしまった様で申し訳ありません」
男性が向かい側の席につくと固まる私を横目にママが女将さんばりに恭しく頭を下げた。

「いえ。こちらこそ お忙しい中わざわざお越しいただきまして ありがとうございます」

ママが頭を上げると男性が胸ポケットから名刺を1枚取り出した。

「改めてまして…私 東条グループでCEOを務めます東条 朔夜(さくや)と申します」

(心地いいバリトンボイス…声までパーフェクト…じゃなくって、東条グループの東条 朔夜…ん?どういう事?)

混乱する私を置いてけぼりにしてママが私を紹介するとママを見ていた男の目が私へと移る。

(…なんかおかしくない?どう見ても卒業を祝いに来てくれた感じじゃないよね…初対面だし…これじゃあまるでお見合いみたい…)


「ねぇママ!どういう事なの?パパは?どうしてパパじゃなく知らない人が来たの?卒業を祝ってくれるんじゃなかったの?これって何なの?まさかお見合いなんかじゃないよね?」

「あ…えっと………実はね、パパとママでマリアちゃんの将来について話し合った時にマリアちゃんにピッタリの方が居るって話になってね、ちょうどマリアちゃんも帰国することだし一度お会いしてみたらどうかなって…「信じられない!!」」

ママが話し終わる前に我慢の限界をむかえた私が怒鳴るとママの体がビクッと跳ねた。

「マ…マリアちゃん、少し落ち着いて…ね?」

「落ち着ける訳無いでしょ!勝手にお見合い決めるなんて!!」

(6年振りに帰国したのに嘘ついて私を騙すなんて…!)

(こんなのありえない!)

バンッと机を叩き立ち上がると私はママの静止も無視して部屋を飛び出したー…










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