悪魔なCEOとワガママお嬢様
***



「馬鹿にしないで!それくらいの日本語分かるわ!」

「へぇ…それは悪かったね 親切心で言ったつもりだったんだが」

(親切心?!どこがよ!)

今だって現に私の事見て厭味ったらしく笑ってるくせに!

「まぁいい…今後の事だが、「帰る!!」」

もう我慢の限界。
男がなんか話始めたけどそんなの知らない!
こんな国、もう1秒だって居たくない。

私は男の横をすり抜け部屋に残してきたママの元へ向かった。
いつの間にか足の痺れも治まっていた…


「ママ!」

さっきまで居た部屋の襖を勢いに任せて開けた…けれど、そこにママの姿は無かった。

(こんな時にどこ行っちゃったの?ママが私を置いて帰るはずなんてないし…お手洗いかな…)

「奥様なら先ほど帰られたぞ」

誰もいない部屋から視線を逸らし振り返るとまたあの男…

(なんで追いかけてくるのよ!もう顔も見たくないのに!!)

「ママが私を置いて勝手に帰るなんてありえないから!」

そう言いながらも少し不安になり店の玄関口に停めた車へと走った。
着ている着物のせいで思う様に走れなくて気持ちだけが焦り途中何度か転びそうになりながらやっとの思いで辿り着いた玄関口で自分の履いてきたパンプスを履き、外に飛び出した。
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