悪魔なCEOとワガママお嬢様
車……ない………


何で…?





(ひどい ひどい ひどい…)

突然お見合いさせられて、ママには置いてけぼりにされて…
挙げ句の果てに俯くと着物にパンプスって変な恰好の自分…

(私が何したって言うのよ…あぁ、何か涙でそう…)



「だから言っただろう 奥様はお帰りになられたって」

あの男がまた付いてきたみたいだけど私はもう振り向かない。


「さぁ、もう観念して俺の言う事聞けよ」


命令される筋合いなんて無い…こんな状況になっちゃってもあの男の言いなりになんてなりたくない。


「俺は暇じゃないんだ 次の仕事に向かう前に俺の屋敷まで送らせるから早く車に乗れ」


「…結構です お店の方にタクシーを呼んでもらうので」

店に戻る為に男と目線を合わさず俯いたまま横をすり抜けようとした。

ーガシッ

強い力で腕を掴まれて私は痛みに顔を顰めた。

「痛っ!離し……」

抗議しながら振り返って男の顔を見た瞬間私は固まってしまった。


さっきまでは厭味ったらしい笑みを浮かべながら私をバカにしてたくせに…




男は冷徹な瞳で私を見下ろしていて…
その口元は笑っていなかった………
< 9 / 20 >

この作品をシェア

pagetop