それでも僕は君といたい。



「うわ、僕今日こんな顔赤かったのかな・・・・」


浴室に着くなり鏡に映る自分の顔色を見て
言い知れぬ羞恥に駆られた気分になった。


パッと思い浮かんだ彼女の笑顔。
曇り一つない純粋な笑顔だったなあ、なんて思うと


見る見る内にまた僕の顔は熱を持ち出した。


これってかなりの重症じゃないか。


そんな気持ちを紛らわすかのように
勢いよくお湯に浸かると



体の芯からじんわりと温まる感覚に
今日の出来事が遠い記憶のように薄れていった。



「明日、どうしよう・・・」



なんでよりによって僕の真後ろの席なんだよ。
世の男はきっと好きな女子との席が近ければ近い程
喜ぶんだろうけど、


僕の場合はなんて話したらいいかわからないし、
返事を返すだけで精一杯なのに
自分から話しかけるなんてなおさら無理だ。



女性経験ゼロの僕が恋愛に悩む時期が来るなんて
思ってもみなかったしな。


ああクソ。何から何まで自分がもどかしく思う。




こうなったら
焦らず気ままにマイペースで過ごそう。



僕は自分に言い聞かせるかのようにゆっくりと
頷き、これ以上深く考えなかった。


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