それでも僕は君といたい。




校舎へ入りクラス表を確認すると僕は5組らしい。
クラスメートの名前も見ずにそのまま
下駄箱に行き、外靴を上履きに履き替える。



そんな一連の動作をしているうち、
それなりに僕も高校生活が楽しみに思えてきた時ー




僕の隣で同じように外靴を上履きに履き替えている
一人の女子と目が合った。


一瞬、頭が真っ白になった。

長い睫毛に囲まれた大きな瞳。
鼻筋が通った小鼻の下には
白い肌のせいか赤みがかかった唇が
色っぽく見える。


誰から見ても美人としか言い様がない。
そんな美少女を直接この目で見るのは
生まれて始めてだった。


「あ、下駄箱の位置同じなんだ!じゃ、一緒のクラスの子だよね!」


僕の顔を見て嬉しそうに笑う彼女の表情は
まるで無邪気な子供の様だった。


急にバクバクと鳴り出す心臓の音。
胸が締め付けられるような感覚に僕自身驚いた。

なんだコレ・・・・?


「あたし、松田乃李(マツダノリ)!君は?」


「・・・・・っ、」


突然降られた彼女の質問に僕は戸惑ってしまう。
名前を聞かれているだけなのに、

緊張して声が出ない。






< 4 / 21 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop