あいつじゃなくて俺を見ろ
「え?しんくん、どうしたの?」


そう、俺は怖くて泣いてしまった


俺が美空を連れ出したのに


でも、美空は文句一つも言わなかった


決して泣きもしなかった


そのかわり笑顔でこう言った


「しんくん、だいじょうぶ、なかないで
 おとなのひとにきいてみよ」


そう言って近くにあった家のチャイムを鳴らした美空


すると、おばさんが出てきた


その後はそのおばさんが俺達のこと知ってたみたいで家まで届けてくれた


「何かあったらどうするの?」って美空の母さんに言われた美空は怖かった怖かった、そう何度も繰り返しながら泣いていた


あー、あの笑顔は俺を元気づけるためのものだったんだって気づいた


だから俺は幼いながらも思ったんだ


強くなりたいって


美空の笑顔を守れるような奴になりたいって





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