eternity
第2章
4月16日
~朝~
「おはよ」

「おはよぉ」

みんな朝の挨拶を交わし教室に入ってくる。

朝のホームルームまで20分ちょっと。

私は高等部へは上がってからは1人で登校している。

私の家はりっちゃんの家に近いけど、りっちゃんには杏という彼女さんがいるから私からりっちゃんを誘ったりはしない。

それにりっちゃんは登校時間が遅いので私とは時間が合わないというもの理由の一つ。

『登校中に柳也を見たら遅刻と思え!』

これが私のクラスの暗黙の了解となっている。

確かに遅刻ぎりぎりだったり、遅刻をしたりしているけどその暗黙の了解はどうかと思うよ?



そんなことを考えながらぼ~としてると杏が登校して私のそばにやってきた。

どうやら杏はりっちゃんと一緒に登校してはいなかったみたい。

うんうん、杏も遅刻は嫌なんだね。

「おはよう梨乃、相変わらず朝は早いのね」

「杏、ごきげんよう」

「・・・」

・・ぅぅ、杏の視線冷たいよぉ。

「いい加減そのごきげんよう、っていうの何とかならないの?そもそもその挨拶は何の影響よ?」

「だってそこかはとなく雅やかなんだもん!」

「・・・梨乃、答えになってないわよ?」

やれやれといった感じで額を手で押さえる杏。

ぅぅ~、どうしてこの挨拶の良さがわからないかなぁ?

「そんなことより柳也のことで聞きたいことがあるんだけど」

「うん、何?」



話の内容を掻い摘んで言うと最近柳也は杏に冷たいらしい。

りっちゃんに何かあったのかとか、杏は自分がりっちゃんに何かしたのかということを聞いてきた。

最近のりっちゃんが杏に冷たいのは気づいていたけど、杏もそう思ってたんだ。

私からはりっちゃんは気分屋だからそういう時期もあるんじゃない?みたいなことを言っておいたけどなんかもっと深い事情がありそう。



キーンコーンカーンコーン。

ホームルーム開始のチャイムが鳴った。

だけど先生はまだ来ていない。

どうやら今日も先生方の話し合いが長引いているみたい。

・・ガラガラガラ。
ガラガラというドアの開く音と共に、

「チャイムが鳴ってもせんこーより早く教室に入ればセーフだったよな?」

と勝ち誇りつつクラスメイトたちにそんなことを言い放ちながら教室に入ってきた。

ぶーぶーというブーイングとよくやったという歓声が教室に沸き起こる。

これはりっちゃんも知ってることだけどクラスの中で昼食を賭けてりっちゃんが遅刻するかしないかの賭け事みたいなことをしてる人がいたりする。

ルールは詳細に決まってるらしく今日は遅刻しない組の勝ちらしい。

以前はりっちゃんにわいろを贈る人もいたみたいだけど、そんなことをしてもりっちゃんはマイペースなので遅刻するときはするし、そうでないときもあった。

それなのでクラスの人たちもわいろには意味がないと知り、今では純粋に賭け事を楽しんでいるみたい。

・・・それにしても賭け事はよくないよ?

ほら、りっちゃんもそんなのに乗り気でいないの!
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