独り歩き〜冷めたキミの目〜
「涼、帰ろう。」
「おぅ!!」
奈々の言葉に笑顔で返事する。
やっと広瀬に会える。
そう思うと嬉しくて、つい気分が弾んでしまう。
でも…
下駄箱で奈々を待っていた広瀬の表情は暗く、顔色が悪かった。
「広瀬、何ボーッとしてんだ?体調悪いのか?」
心配になってそう聞くと、広瀬は俯いていた顔をあげた。
「平気です。気にしないでください。私、丈夫ですから。」
きつめの口調でそう言われ、俺は何も言い返せなかった。