独り歩き〜冷めたキミの目〜
「でも、顔色よくないよ?つくし、休む?」
「いい。大丈夫。」
心配そうに顔を覗き込む奈々に対しても冷たい態度で引き離す。
「でも…」
「平気だって言ってんじゃん!!うっさいなあ。私はお姉ちゃんじゃないから風邪くらいほっとけば治るよ!!」
急に大声をあげた広瀬に思わず目を見開いた。
広瀬がこんなに感情的になるところは初めて見た。
そして同時に何だか悲しかった。
広瀬の言葉はまるで、自分なんてどうでもいい。
いちいち口出ししないで。
そう言っているように聞こえた。
「つくし…」
「…ごめん。言いすぎた。きつかったよね、ごめん。」
唖然とする奈々に我に返って謝る広瀬。
「お姉ちゃんは私の心配なんてしなくていいんだよ。自分の体、大事にしなよ。」
その声はいつもの広瀬の優しい声で。
その目は今まで見たことがないくらいに寂しそうだった。