婚活中毒!

「こういうところに来る人は、真面目で真剣な人しかいませんよ」

 それはとあるセミナーの帰り。

 会場の駐車場での出来事でした。
★「お疲れさまでした」

 私の車の隣に停めていた車の前で、一人の男性と遭遇。

(確か、隣のグループの席にいた人だ)

 その彼は、ぱっと見マジメな好青年。決して華やかではなく、どこにでもいそうな素朴な田舎の若者という印象だった。

★「今までにこういうイベントに参加されたこと、あるんですか?」
 (開口一番、それかい)
 

 今回は、某市の企画で行われた、恋愛セミナー兼婚活パーティー。様々なワークショップを交えた実践的でわかりやすく、非常にためになる講座でした。

 私はこれまで婚活イベントなるものに数回参加したことがあるのですが、とりあえず「初めてです」と答えました。

★「え、そうなんですか。僕はもう何十回と参加してるから、だいたいどこに行けばいいとかわかりますよ」
「はい?」

 それから彼は、まくしたてるように自らのパーティー参加履歴を事細かに話し始めたのです。

★「○○市のイベントはすごくオシャレな店で、ムードが保たれてかなり楽しかったです。若い女性もいっぱい参加してたし、料理も美味しかったから会話も弾んで。それから……」
★「△△市は、結構頻繁にイベントやるんですよ。僕は近所だからそこのイベントによく参加するんです。みんな真面目に結婚考えて参加してるから、他の街コンなんかよりもずっと安全ですよ」
★「まあ、県内だったらだいたいの会場は制覇していますね。県外まではまだ十分に行けてないですけど。云々」
 
 彼は何故か得意気な表情。
 私は根本的なことを聞いてみた。

「成果はあったんですか?」と。

★「ああ、成果ですか。それはもちろん」
「例えば?」
★「参加者の中から何組もカップルが成立したところを見てきたことですかね。あ、それで僕の友達彼女ができたんです。何回もイベントで顔合わせていくうちに仲良くなって付き合い始めたって」
「…………はぁ」
 で、肝心のあなたは?
 私はあなた自身のことを聞いてるんだけど。
★「友達が幸せになっていくのを見ると、こっちまで嬉しくなりますよね」
 アンタ、本当に幸せなのか?
★「やっぱり婚活パーティーは良いですよ。みんな真面目に結婚考えている人ばかりだから。そういう人しかまず来ませんから。そういう面では、婚活パーティーは安心感があると思います。だから、出会いを求めるなら、街コンじゃなくて婚活パーティーに行った方が絶対にいい人に出会えますよ」
 婚活中毒者、発見。



 続編「次回の婚活パーティーに誘う男」



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