未熟女でも大人になっていいですか?
記念にも程がある
5月15日、2人揃って年を取った。
私、仙道 藤(せんどう かつら)は36歳、同居人の高島 望(たかとう のぞむ)は40歳。
2人で美味しいローストビーフを食べ、プレゼントを交換し、思いがけずプロポーズの言葉まで頂いた。
感激に酔いしれて交わしたキスは、高島にとって数えきれない回数を一つ増やしただけだったかもしれないけれど、未熟女の私にとっては初めてで大切なもの。
それを知ってか知らずか囁かれた言葉に、「どこまででもいいよ…」と答えたのはいいけれどーーーー
「やっぱり今日はやめよう」
上から覆いかぶさろうとしていた男が囁いた。
「えっ……?」
懸命に瞑っていた目を開ける。
「飲み過ぎたらしい。気分悪い…」
視線を避けるように自分の背中を布団へと押し倒す。
「だ、大丈夫!?」
「はぁ〜……」
深い溜息を吐く。
「の…望さん……?」
一体何故!?
どうして急にやめようとするの!?
私どこか変だった!?
子供過ぎてやりきれない!?
「………………」
問いかけたいけど押し黙る。
私の隣で息を吸い直した男は、体を俯せて謝った。
「……悪い。今夜は1人で寝てくれ」
記念日なのに。
来年まで同じ日はこないのに。
顔も見せない相手に訴えたい言葉は山程ある。
でも、そのどれもが言い出せない。
「分かった………おやすみなさい………」
違う意味で傷つく。
やっぱり、男なんて信じられない生き物だ。
私、仙道 藤(せんどう かつら)は36歳、同居人の高島 望(たかとう のぞむ)は40歳。
2人で美味しいローストビーフを食べ、プレゼントを交換し、思いがけずプロポーズの言葉まで頂いた。
感激に酔いしれて交わしたキスは、高島にとって数えきれない回数を一つ増やしただけだったかもしれないけれど、未熟女の私にとっては初めてで大切なもの。
それを知ってか知らずか囁かれた言葉に、「どこまででもいいよ…」と答えたのはいいけれどーーーー
「やっぱり今日はやめよう」
上から覆いかぶさろうとしていた男が囁いた。
「えっ……?」
懸命に瞑っていた目を開ける。
「飲み過ぎたらしい。気分悪い…」
視線を避けるように自分の背中を布団へと押し倒す。
「だ、大丈夫!?」
「はぁ〜……」
深い溜息を吐く。
「の…望さん……?」
一体何故!?
どうして急にやめようとするの!?
私どこか変だった!?
子供過ぎてやりきれない!?
「………………」
問いかけたいけど押し黙る。
私の隣で息を吸い直した男は、体を俯せて謝った。
「……悪い。今夜は1人で寝てくれ」
記念日なのに。
来年まで同じ日はこないのに。
顔も見せない相手に訴えたい言葉は山程ある。
でも、そのどれもが言い出せない。
「分かった………おやすみなさい………」
違う意味で傷つく。
やっぱり、男なんて信じられない生き物だ。
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