未熟女でも大人になっていいですか?
「式の予定くらい立ててから報告に来んか!そうでなければ認めん!」


ある意味認められている様な気もする。

要するにお父さんは確約された事柄が好きなだけだ。



「うっせーな、分かった!」


面倒くさそうに答えて高島が立ち上がる。


「そんなに言うなら来月にでも式を挙げる!それで文句ないだろう!」


売り言葉を買った。

単純にそうとしか思えなかった。



「上等だ。楽しみに待ってる」


お父さんは意地悪く笑った。



(この親子、とんでもない程似た者同士だ…)


「あの、ねぇ、望さん…?」


(私の意思は関係ないの!?)


心配して顔を覗き込んだ。

ちらっとこっちの表情を伺い、高島は囁いた。


「カツラも親戚に連絡しろよ」


「えっ!?そんなこと急に言われても困るし」


「困られたら俺の立つ瀬がねぇ。来月式を挙げる。もう決めた!」


「で、でも、まだ喪中で…」


大それた式など挙げられない。

困惑する私の眼差しを見て高島が呟いた。



「おっさんの寺で挙げるならいいだろう」


「ご住職のお寺で!?」


教会とか神社というイメージはないらしい。

唖然としたまま、思わず言葉を失った。




「もう帰るからな」


立ち上がるが早いか店を出て行く。



「あ…ちょっと待って……!」


椅子から立ち上がり一礼した。

鉄砲玉のように出て行った男の背中を追いかけ、慌てて引き止めた。


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