未熟女でも大人になっていいですか?
「あーもう。私ってどれだけ未熟なの……」


メンテナンスは終わってもアフターケアが必要ってこと!?

しかも、相手は誰でもいい…という訳じゃない。


高島がいい。

彼以外には触れられるのも嫌だ。



「とにかく、今夜は簡単な夕食で済ませて採点!そして、なるべく早目に寝よう」


30代半ばを過ぎると、肌はとっくに角を曲がりきっている。

ふっくらもちもちだったのは20代前半まで。

後はどんなに手入れをしても、勝手にどんどん曲がっていく一方。


(現状を保つには睡眠以外にない!)


高島に「綺麗だ」と言われたこの状態を少しでも長く保つ努力をしよう。

そして、今度こそ思いきり触れてもらうんだ。



スーパーに寄り、夕飯の買い出しをした。

精肉売り場で安売りをしていた酢豚用の角切り肉を買い、少なくなっていた缶ビールを買い足す。



「うっ……さすがに重い……」


160枚分の答案用紙に買い出し分の食材。

一人暮らしをしていては、決して味わうことのできない腕のだるさに辟易しながらスーパーを後にする。


こんな毎日が訪れようとは思ってもいなかった。

指はちぎれそうなくらい痺れているけれど、気持ちだけは何処かハッピー。


高島と暮らせるようになって良かった。

本当に今の自分は幸せだと思う。


「後はこの手荷物を持ってくれる人が現れると尚いいけれど……」


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