未熟女でも大人になっていいですか?
「カツラには婆ちゃんも爺ちゃんもいないのか?」


「いるけど付き合いが全然なくて。うちの両親自体が親戚とは疎遠で、皆バラバラの生活をしていたから」


考えてみたら寂しい限りの付き合いだ。

父も母も同性の兄弟が1人だけ…という点が、災いしているせいなのかもしれない。


「父にはお兄さん以外の男兄弟はいないし、母も女は妹1人だけ。だから何処となく似た者夫婦だったのかもね」


物心ついた頃には父は他界しておらず、私は母と2人だけの生活を強いられていた。

祖母や他の兄弟達を頼ることもなく、母は私を1人で育て亡くなっていった。


「母の妹にあたる伯母さんは陽気な人でね、うちに来るといつも必ず何泊か泊まっていくの。4月の忌明け法要の時も1週間前から泊まりに来て、だから今回もそろそろお出ましになるんじゃないかな…と、思ってはいるんだけど……」


母に似て朗らかな性格の伯母は幼い頃から私の心の拠り所だった。

介護施設で働く母の、唯一の協力者だったと言っても過言ではない。


「親父さんのお兄さん夫婦とはそこまでの付き合いはねぇのか?」


ビールの缶を空にしながら聞かれた。


「うん。叔父さん夫婦も良くはしてくれたけど、母はやっぱり伯母さんの方が気易かったみたいで」


「ふぅん。いろいろと複雑な家系なんだな」


血縁者というのは名ばかりだな…と思いながら大人になった。


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