未熟女でも大人になっていいですか?
「明日からそっちに泊まりに行こうと思ってるから準備して待っといて!」


やはりそう来たか…と狙っていた通りの言葉が聞かれる。

いきなり訪ねて来られては困ると思い、高島のことを話しておくつもりだったけれど。


「あっ、ちょっとお客さんだわ。じゃあ、また明日!」


言ったと同時に電話が切れた。

ツーツー…と虚しく響く通信音に暫し呆然と佇む。



「相変わらず気忙しい伯母さん」


受話器を置きながら呟くと、高島が「何だ?」と聞き返す。


「何でもない。…あっ、伯母さんやっぱり明日から泊まりに来るって」


「そぉか、じゃあ暫く一緒に寝るのはナシだな」


残念…と肩を落とす。

日曜日に家に帰ってきて以来、私達はお互いの部屋を交互に行き来しながら夜を共にしていた。


「どのくらいの期間、泊まるつもりでいるんだ?」


「さぁ?それを聞く前に電話が切れちゃった」


大体いつもと同じなら1週間程度かな…と教える。


「じゃあ今夜は1週間分楽しんで…」


「とか、できる訳ないでしょ!」


明日は現国も古文も授業がある。

帰国子女達に理解できるように授業を展開していくのは実に厄介なのよ…と訴えた。



「カツラは真面目すぎる」


「真面目だけが取り柄だと言ったでしょう」



何処までも変わらない関係。

私達は大人になったのか、それとも子供のままなのかも謎だ。


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