未熟女でも大人になっていいですか?
翌日、学校帰りにスーパーへ寄って買い物をした。

夕食は伯母の好きな筑前煮を作ろうと思い、その材料を買い足しに寄ったのだ。


ガサガサ…とマイバッグを揺らしながら急いで歩き、門の角を曲ろうとしたら、「ひぃぃぃ!」という大きな悲鳴が聞こえて走り寄った。

慌てて門を駆け抜け庭に足を踏み入れると、そこには懐かしい人の背中が見えていた。


(伯母さん…!)


声を掛けようと近寄ると、少しだけ仰け反りながら後ろへと下がってくる。

オドオドと震えながら腕を上げ、前へ向かって指差した。



「あ……貴方は誰…?」


知りもしない者が家の庭にいては、ビックリするのも当然だ。


(あーあ、間に合わなかった…)


指を差された本人は、唖然としたまま「はぁ?」と声を上げている。

その2人の方へ寄って行き、背中を向けている人に向かって声をかけた。



「桜(さくら)伯母さん、こんにちは。いらっしゃい」


私の声に気づき、伯母は安心した様に振り返った。


「藤ちゃん、丁度良かった!あのね、この男が……」


この男呼ばわりされた方は弱って「何とか言ってくれよ」という眼差しを向けている。

くっ…と笑い出したくなるのを我慢して、伯母に向かって説明をした。



「伯母さん、この人は私の婚約者なんです」


来て来て…と高島を手招く。

藤棚の蔓を選定していた男は仕方なさそうな顔を見せ、鋸を置いて来た。


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