未熟女でも大人になっていいですか?
期待せずに帰ろう。

帰ればあの人に会える。



帰り道を急いだ。

家の近くまで来ると、見慣れた軽トラックが止まっている。


(あっ、もう帰ってる。早いな…)


玄関の扉を開けたら人が居る。

それがどんなに嬉しいことか、私は身を持って知っている。


門扉を抜けて玄関扉の前に到着。

チャイムを鳴らす前に郵便ポストを確認した。



『仙道 藤 様』


黒いボールペン字は見たこともない筆跡。

往復ハガキ…というのも初めてだ。



「誰?何?」


首を傾げながら開いた。

印刷された文字を見つめ、暫し体が固まった。



『同窓会開催のご案内』


タイトル文字に続いて印刷されている時候の挨拶に目を通し、本題に入ったところで手が震えた。



『卒業から10年という節目を迎え、この度、記念の同窓会を行う運びとなりました……』




10年!?

10年前と言えば、あの事があった年と同じ………



『当時の担任や副担任の先生方にも是非ご主席賜りたく……』



長々と言い訳がましい文章を読み込んで閉じた。




「………冗談じゃないわよ」


呟いている自分の声が低すぎて怖い。



「誰が行くもんですか……!」


ぶるぶる…と体が震えだす。

この最近忘れていた過去をたった一通のハガキが呼び醒ました。



ハガキの投函主は10年前の教え子。

あの事件の後、副担任を任された三年のクラス代表だった子だ。

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