未熟女でも大人になっていいですか?
『似た者同士』の意味を考えながら作った夕食のおかずは、何処かピンボケな味になってしまった。




「今日のメシは久しぶりにヤバい」


筑前煮のレンコンを口に放り込み、高島がいい加減に噛んで飲み込む。


「甘い?」


自分も食べて確かめる。


「ん……」


「ヤバいだろう?」


「んーーー!!」


薄いっ!

薄すぎるっ!!


「…どれどれ」


「あ…伯母さん、待って…!」


味を付け直すから…と言う間もなく食べられた。


「…薄味ね。でも、私にはこれで丁度いいわ」


自分の分だけを小皿に取り分け、残りは味を付け直せば?と言われた。


「そうまでしなくてもいい。たまにはこんなのも体に良さそうだ」


ヤバいと言った本人は、辛味の効いた酒のつまみと一緒に味わうからいい…と断った。


「明日はもっと美味しい物作って出すね」


断言しながら食事を進める。

食事中に入籍式の話になり、桜伯母さんは「必ず出席する」と返事をくれた。



「本当なら花嫁姿が見てみたいものだけど、喪中じゃ仕方ないわね」


来年にはきちんとした形で皆に披露しなさいと諭された。


「でも、お父さんの親戚もお母さんの方も集まってくれる?」


母の葬儀の時ですら素っ気ない人達だった。

通夜と葬儀と初七日の法要が終わると、ほぼ全員が直ぐに帰ってしまった。


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