未熟女でも大人になっていいですか?
誓いの詞(ことば)
翌朝、父のお兄さん夫婦は早くから家を訪れてきた。


「叔父さん、叔母さん、婚約者の高島 望さんです」


自信を持って紹介すると、まるで父親の様にお願いをされた。


「絶対に藤ちゃんを泣かさないと約束して下さい」


真面目ぶりを絵に描いたような叔父の言葉を受け止めながら、高島は「勿論そのつもりでいます」と答えた。

何処かしら覚悟にも似た答えは、師匠との初対面の日を思い出させる。

あの人にももう一度会いたいな…と考えつつ、集まる人々を出迎えた。


父方の親戚は叔父さん夫婦の他に妹でもある叔母さん2人が出席。

母方の兄弟は長男の伯父さん夫婦以外は全員集まってくれた。



「兄さん達はどうして来ないの?」


桜伯母さんは不機嫌そうに年下の三男伯父にあたる。


「爺さんの具合が思わしくなくて来ようにも来れない状態だそうだ」


「勘弁してやれよ」


次男伯父からも説得されている。


「もうっ!大事な相談があるって時にはいつもこうなんだから!」


伯母さんは息を巻いていたけれど、私は少し心配だった。

会ったこともなければ顔を見たこともない自分の祖父の具合が悪い。


(……大丈夫かしら、元気になってくれるといいけれど…)



気に掛けながら法要に参ってくれた人達にお茶を勧めた。



「……あんたは誰だい?」


聞かれる度に高島は嫌な顔一つせず答えている。

話が盛り上がった先で、時折笑い声も聞かれた。


< 149 / 208 >

この作品をシェア

pagetop