未熟女でも大人になっていいですか？
「どうも初めまして。望の兄の『晋（すすむ）』と言います。こっちは家内の皆実（みなみ）、それから長男の拡（ひろむ）と次男の勇（いさむ）です」


丁寧に家族全員を紹介され、感激しつつ頭を下げた。


「こっちは未だ独身の弟『歩（あゆむ）』」


「兄さんに言われたくないセリフだよ」


高島よりも少し背の高い男性は笑って会釈をくれた。


「初めてお目にかかります。仙道 藤と申します」


「おい、もう直ぐ仙道じゃなくなるのにその自己紹介は変だろう」


「あっ、それもそうね」


照れながらも初対面の人達と顔合わせをした。

ご住職からの口添えもあったお陰で、亡くなった両親の兄弟や姉妹達も顔を出してくれた。


「叔父さん、お爺ちゃんの具合は如何ですか？」


会ったこともない祖父の体調を尋ねると、母の兄でもある伯父は「大丈夫、峠を越した」と教えてくれた。


「今度、時間を見つけてお見舞いに伺いますから」


「そうしてくれると喜ぶよ。蜜は親父の秘蔵っ子だったからね」


母は幼い頃から祖父に可愛がられて育ったんだと聞かされた。


「それ故に自分が気に入らない男との結婚を決めた蜜が許せなかったのだろう」


長いこと疎遠でいた理由も伝えられた。


「でも、もう蜜も死んでしまったことだし自分もそう長くないと思っている。藤ちゃんが側で寄り添ってやれば、きっと涙を流して嬉しがるだろうよ」


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